妊娠したい女性にとって、卵子の排卵はとても重要なコトです。

ほとんどの不妊治療で使われている排卵誘発剤の使用目的は、まさに卵子への刺激です。卵子の成長を促し排卵しやすい環境にしてくれるとあって、不妊で悩む女性の強い味方と言っても過言ではありません。

ですが、一方で費用や副作用の問題で使用を躊躇する女性も多いのが現状です。

そこで今日は、排卵誘発剤の種類および、そのメリットやデメリットについても調べてみました。

排卵誘発剤とは

排卵誘発剤とは、その名の通り「排卵を誘発してくれる薬」です

主に、排卵障害や生理不順、無月経の治療に用いられますが、人工授精や体外受精などの不妊治療でも幅広く使用されている薬です。

不妊治療で排卵誘発剤を使用する目的としては、薬で卵巣を刺激することによって成熟した卵胞の数を卵巣で増やし、いわゆる「良質な卵子を育てる」ことです。

また、排卵する力が足りない場合に、排卵を促す手助けをしてくれる重要な役割も担っています。

その一方で、特に排卵に問題の無い女性や不妊の原因が特定できない場合にも、排卵誘発剤でより確実に排卵を起こさせることで、妊娠の成功率をあげることに役立てています。

排卵誘発剤のメリット

不妊治療は、より自然妊娠に近い方法で行うことのできるタイミング法からスタートする場合が多いですが、夫婦共に不妊の原因が見当たらなければ、超音波で排卵日を予測して性交渉を行う日を医師から指導してもらいます。

その時に、妊娠の成功率を少しでも高めるために使うのが排卵誘発剤であり、誘発剤の種類にもよりますが薬を使用することで得られる排卵率は70~80%、妊娠の成功率は20~40%と高い数字がでています。

また、タイミング法の次のステップとして行う人工授精では、1回の妊娠の成功率は7~10%なのに対し、 排卵誘発剤を使用した場合は10~15%に上昇することも分かっています。

排卵誘発剤のデメリット

排卵誘発剤は、飲み薬と注射薬の2つのタイプに分かれており、どちらを使うかはその時のホルモン値によっても変わりますが、まず最初は穏やかな効き目の飲み薬から始めて、それでも効果が無かった場合にはより強力な注射薬に移行して行くのが一般的な治療の流れになっています。

気になるデメリットとしては、穏やかな効き目である飲み薬の方が副作用は少なく安全性が高いと言われており、筋肉注射を行う注射薬の方は卵巣を直接刺激するため排卵効果は高いものの、副作用が起きる頻度は飲み薬と比べると高くなります。

主な副作用としては、多胎妊娠と卵巣過剰刺激症候群(OHSS)です。

自然妊娠での多胎妊娠が1%未満なのに対し、排卵誘発剤の飲み薬の使用で5%、注射薬では20%まで確率が上がります。

そして、排卵誘発剤の刺激によって卵巣が大きく腫れると言った副作用のある卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は、重症になると胸水や腹水が溜まり呼吸困難を引き起こす恐れもあり大変危険です。

こちらの副作用は飲み薬で起きることはほぼ稀であると言われており、ほとんどが筋肉注射での投与の際に起きていることが分かっています。

また、胎児へのリスクはと言うと、障害がある赤ちゃんの生まれる確率は、自然妊娠とほとんど変わらないことが分かっていますので安心してください。

金銭面としては、排卵誘発剤の投与は保健適用外ですので、回数を重ねるごとに金額が高くなると言った経済的なデメリットも挙げられます。

排卵誘発剤の種類(飲み薬)

クロミッド(クロミフェン)

排卵誘発剤の中でも最もポピュラーな存在として知られるクロミッドは、クロミフェンとも呼ばれる経口薬です。

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こちらの錠剤は、直接卵巣に働きかけるのではなく、投与後に腸から吸収されて血流に乗り脳の視床下部刺激することで、卵胞の発育や排卵を手助けする卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化ホルモン(LH)の分泌を促す作用をしてくれます。

無排卵や無月経の治療に使われることはもちろん、黄体機能不全の改善や不妊治療における妊娠成功率を高める際にも広く使われており、「排卵誘発剤と言えばクロミッド」と言われる程に確固とした地位を築いている薬です。

クロミッドの飲み方は、1日1~3錠を月経の3日~5日前に服用を開始して、5日間飲み続けます。

服用する量は卵胞の状態をチェックしながら行い、もし卵胞が大きくなっていない場合はクロミッドを2段投与したり、hMGやヒュメゴンと言った注射薬をプラスして、卵胞を十分成熟させてからhCGを投与し、排卵を誘発させていきます。

気になるクロミッドの効果は、排卵誘発率が70~80%、その内の妊娠に至る確率は10~30%と高い数字が出ています。

反面、副作用などのデメリットとしては、数周期以上に渡り使用すると、子宮内膜が薄くなったり頸管粘液が減るリスクがあることです。

個人差はありますが、目がチカチカしたり発疹や頭痛、更年期やうつ病に似た症状が出たり、のぼせやお腹の張りなどの副作用も報告されています。

また、通常の自然妊娠で生まれる双子の確率が1.25%なのに対し、クロミッドを使用した場合は5%前後になります。卵巣過剰刺激症候群(OHSS)に関しては、自然妊娠の発症率が0.4%なのに対し、クロミッドは5%に上がります。

セキソビッド(飲み薬)

セキソビッドは、クロミッドと同様に排卵を促す誘発剤ですが、飲み薬の中では最も作用が軽いタイプと言われています。

こちらは、卵巣を刺激する性腺刺激ホルモンの分泌が足りない場合に使われる薬で、FSH(卵胞刺激ホルモン)の分泌を促し、卵胞発育を助けます。

不妊検査でホルモン異常が認められない場合など、第1段階で使われることが多く、卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を促しながら卵胞の発育をサポートします。

飲み方としては、クロミッドと同じサイクルで服用し、1週間後に排卵を起こさせます。

ただし、作用が弱い分、副作用はほとんどありませんが、一方で効果が十分に期待できないと言ったデメリットも存在します。あくまでも、クロミッドで過剰刺激が起きた場合に使う誘発剤であると言った認識が大きいようです。

排卵誘発剤の種類(注射薬)

hMG注射

こちらは、直接卵巣に働きかけて卵胞を成熟させる働きがあり、飲み薬よりも高い誘発率が期待できます。

先にクロミッドを使用した際に「多少の効果は認められたけど十分ではなかった」と言った場合に使われる注射薬であり、使い方としては月経開始後数回に渡り筋肉注射を行う方法です。

hMG注射は、卵巣刺激ホルモン(FSH)と、黄体化ホルモン(LH)の両方が入ったホルモン剤で、主に無排卵や人工授精および体外受精などで使われています。

卵巣刺激ホルモンと黄体化ホルモンの両方が入った注射薬はいろいろありますが、2つの配合比はメーカーによって違ってきます。
一般的には不妊治療の診察をした上で、配合比や投与の仕方にも個人差がでてくる薬であると言えそうです。

気になる副作用としては、注射部位が赤く腫れることや卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を引き起こすリスクがあることです。卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が重症化すると命に関わる危険もあるので、医師による早期発見と速やかな処置が必要です。

また、クロミッドの場合は双子の確率が多少増える程度ですが、注射薬は3つ子や4つ子などの多胎妊娠の確率が20%になります。

hCG注射

こちらは、排卵や妊娠に必要な黄体ホルモンに似た作用のある注射薬であり、クロミッドやhMGで卵胞を成熟させた後排卵を起こさせるために投与します。

分かりやすく言うと、「hMGで卵胞を大きくさせて、hCGで卵胞を割る」ことであり、卵胞が排卵できる大きさになった頃に注射するのが一般的です。

気になる副作用としては、hMG同様、多胎妊娠の確率が20パーセントあることや、クロミッドやhMGと併用することで、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を起こすリスクが高まります。

ですが、卵胞が大きくなっていてもhCGを注射しなければ重症化に至ることはありませんので、卵巣が腫れた際は投与を止めることが先決です。
また、hMGやhCGなどの注射薬は一週間ほど継続して投与しなければならないため、毎日の通院が必要となってきます。